人気の軽ハイトワゴン【タントとスペーシア】使い勝手がいいのはどっち?
2022.07.30
2003年の発売当時、軽自動車最長となる2,440mmのロングホイールベースで話題を集めたダイハツ タント。
全高が1,700mmを超えるボディは当時非常に珍しく、軽ハイトワゴンという新しいジャンルを確立させたエポックメイク的な存在でした。
その後もタントは進化を続け、現在販売されているのは4代目。
ダイハツの新世代クルマづくりであるDNGA(Daihatsu New Global Architecture)の第1弾商品として登場し、世界初のスプリットギアを用いた新CVTをはじめ、あらゆる機構が一新されています。
いっぽうのスズキ スペーシアは、タントのライバルとして送り出されたパレットの後継モデルとして2013年にデビューしました。
タントと同じく、全高が1,700mmを超える軽ハイトワゴンで、当時としては画期的なワンアクションパワースライドドアを軽規格として初めて採用したこともトピックでした。
2017年にはフルモデルチェンジを行ない、2代目へと進化しています。
軽ハイトワゴンのマーケットを切り開いたタントと、2021年に国内累計販売台数100万台を突破した(初代含む)スペーシアを比較検討していきましょう。
■ミラクルオープンドアはタントだけ
ボディサイズは、タントが全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,755mmに、ホイールベース2,460mm。
スペーシアが、全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,785mm、ホイールベース2,460mmと、いずれも軽自動車ワクいっぱいの設計です。
室内は、タントが室内長2,180mm×室内幅1,350mm×室内高1,370mm、スペーシアが室内長2,155mm×室内幅1,345mm×室内高1,410mmと、こちらも同様の数値。
大きな違いは、前後ドアを開放したときのBピラーの有無で、タントはミラクルオープンドアは、前後ドアにピラーを内蔵することで1,490mmという広い開口部を確保して、小さなお子さんや、お年寄りの乗り降りが簡単かつ安心にできるようになっています。
またタントのフロントシートは、運転席のスライド量が540mm、助手席側も380mmのロングスライド機構が備わっており、運転席から後席への移動もスムーズに行えます。
対するスペーシアは、高い室内高と余裕のあるシート配置と、高いヒップポイントによって、前後席とも見晴らしがよくリラックスできる空間作りがなされています。
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※価格は支払総額
■ラゲッジスペースはほぼ互角
タントのラゲッジスペースは、開口高1,061mm(開口部地上高580mm)、開口幅1,007mmと広くて使いやすいのが特徴です。
左右独立可倒式のリアシートは240mmのスライド量で、荷物のサイズや量に応じた荷室アレンジが可能なほか、リアシートの背もたれをたたみ、フロントシートの背もたれを後方に倒すことで、長尺物に対応するフラットな空間が現れます。
対するスペーシアは、荷室開口部の地上高が510mmと低く、自転車のような大きな荷物の出し入れも簡単です。
リアシートの左右独立スライドはタントと同様ですが、スペーシアにはスライドドア側と荷室側、どちらからでもワンアクションで折りたたむことができるワンタッチダブルフォールディング機構を装備して、使い勝手を高めています。
またフロントシートの背もたれは、前後に倒してフラットにすることが可能で、シートを汚したくないときは前側に、室内でリラックスしたいときは後方に倒すという使い分けができます。
■後席の快適性はスペーシア?
タントの上位グレードに装備されるパワースライドドアには、降車時に予約をしておけば、乗車時には電子カードキーを持ってクルマに近づくだけでスライドドアが開くウェルカムオープン機能や、スライドドアが閉め切る前にクルマから離れても自動でロックが行なわれるパワースライドドアタッチ&ゴーロック機能。
軽く閉めるだけで半ドアから全閉するイージークローザーなどが装備されます。
ウインドウは、360°スーパーUV&IRカットガラスによって全席を紫外線から守ってくれるほか、リアドアにはサンシェードも装備して、後席のお子さんなどを日射しから守ります。
運転席&助手席シートヒーターは4WD車に標準装備、FF車はX系以上にオプション設定されます。
対するスペーシアの上級グレードに装備される後席パワースライドドアは、ドアロックの予約機能を搭載。
さらにパワードアを途中で停止させる一時停止機能もつくので、好きな位置でスライドドアの開閉をストップさせることができます。
また車内の空気を効率よく循環させ、温度差の偏りを解消するスリムサーキュレーターや、前席のシートヒーターも上級グレードに標準装備されるほか、全グレードに後席の足もとに温風を送り込むリアシートヒーターダクトを装備しています。
■いずれも十分な安全装備
タントにはダイハツの予防安全機能である“スマートアシスト(スマアシ)”が装備されます。
スマアシは、止まる・気づく・飛び出さない・はみ出さないなどをアシストする7つの衝突回避支援、見落とさない・夜間の運転・まぶしくさせないなどをアシストする5つの認識支援、車間キープおよび車線中央を走るをアシストする2つの運転負荷軽減、全方位の見える・カンタン駐車などをアシストする3つの駐車支援と、全部で17種類の予防安全機能から構成されます。
これ以外にも、濡れた路面での安全を確保する「コーナリングトレースアシスト(CTA)」や急ブレーキを後続車に知らせる「エマージェンシーストップシグナル」、走行状況に合わせてブレーキを制御する「ABS(EBD機能付)」なども搭載し、安全運転をサポートします。
スペーシアの予防安全技術は“スズキ セーフティ サポート”です。
2種類の衝突被害軽減ブレーキをはじめ、誤発進抑制機能や車線逸脱抑制機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能など、全部で11種類の予防安全技術によって構成されています。
このほかに、衝撃を効率よく吸収するボディ構造TECT(Total Effective Control Technology)や6つのエアバッグ、頚部衝撃緩和フロントシート、高性能シートベルト、歩行者傷害軽減ボディなどが装備されます。
パワートレインは、タントがNAエンジンとターボというラインアップで、燃費が18.8km/L〜21km/L(WLTCモード)なのに対し、スペーシアはISGを装備したハイブリッドのみという構成で、燃費は20.2km/L〜22.2km/L(WLTCモード)とうわ回っており、日々の燃料代を考えると以外に大きなポイントかもしれませんね。
■スペーシアは3タイプのボディが選べる
タントには、専用のエアロパーツやフロントマスクなどを身にまとったタントカスタムがあります。
対してスペーシアには、スペーシアカスタムのほか、2016年デビューのスペーシアカスタムZ、2018年デビューのスペーシアギアが存在しています。
■甲乙つけがたい好敵手
非常に似ているタントとスペーシアですが、使い勝手の良さではドア開口部の大きいタント、燃費性能ではスペーシアと、実際に購入するとなるとかなりアタマを悩せることになるでしょう。
あとは店頭に足を運んで、実車を見比べて選んでください。