BMWらしくない?X1というクルマの魅力とは
2018.02.09
「バイエルンのエンジン工場」の頭文字をとって名付けられたBMWは、その名に恥じることなく、最高のエンジンを搭載した最高のスポーツカーを作り続けてきました。メルセデスベンツやアウディ、レクサスといった競合のプレミアムブランドの中でも、「走りにこだわるならBMW」というイメージが根強いのも、こうした歴史に裏打ちされたブランディングのたまものと言えるでしょう。
そんなBMWが2000年に、BMWが発案したまったく新しいクルマとして、X5を発表し、世界中に衝撃を与えました。X5は乗用車である5シリーズをベースにしたSUV、いわゆるクロスオーバーSUVなのですが、BMWは独自性を強調してSports Activity Vehicle(SAV)というカテゴリーのクルマであると、この新型車を呼んだのです。
X5は、その後各ブランドから発表されることになる高級クロスオーバーSUVの先駆けとして、世界中で大きな人気を得ることになります。
そして2004年、今度は3シリーズをベースにしたより小型のクロスオーバーSUVとして、X3を発表しました。BMWの狙い通り、このXも大きな成功をおさめました。そうなると、より小型のクロスオーバーSUVを期待せずにはいられません。そうして、2009年に発表されたのがBMW史上最もコンパクトなクロスオーバーSUV、X1なのです。
X1の歴史
BMW・X1が登場したのは2009年9月のフランクフルトモーターショーのことでした。
X1の名の通り、1シリーズをベースに構成されるかと思われましたが、3シリーズツーリングのプラットフォームが使用されました。駆動方式にはSUVらしく4WDが採用されると同時に、コンパクトSUVとしては珍しく、FRも用意されました。後に、2シリーズが登場したことによって、この法則は打ち破られましたが、「駆けぬける歓び」を標榜するBMWにとっては、FRであることは非常に重要であり、当時はほぼすべての市販モデルがFRで構成されていたのです。
また、立体駐車場へと入れられるように、全高が1545mmに抑えられていることもあり、クロスオーバーSUVでありながら、長ショートオーバーハング・ロングホイールベースの独特のプロポーションをまとったクルマとして、異彩を放ちました。
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X1ってこんなクルマ!
現在、日本で販売されているX1は、2015年にフルモデルチェンジが施された2代目です。初代X1がFRベースのクロスオーバーSUVであったのに対し、2代目はFFベースとなるなど、構造的にも大きな変化を遂げることになりました。このプラットフォームは、2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラーや、同じくBMWグループのMINIと共用されています。
パワートレインには1.5リットル直列3気筒ターボエンジンと2リットル直列4気筒ターボエンジン、そして2リットル直列4気筒ターボディーゼルエンジンが採用され、トランスミッションには6速ATと8速AT、2017年8月からは一部グレードに7速DCTが組み合わされています。
全長4455mm×全幅1820mm全高1610mmと、初代に比べてわずかに大きくなったことで、よりSUVとしてのたくましさが得られました。一方で、FFベースになったとは言え、BMWらしいショートオーバーハング・ロングホイールベースのプロポーションは維持されています。
エクステリアは、マットシルバーで彩られたアンダーガードなどの装備がスポーティなフォルムを強調しつつ、エクスクルーシブなボディカラーがエレガントな雰囲気を演出しています。また、テールゲート上のエアブレードやフロントエプロンのエアカーテンといったエアロダイナミクステクノロジーが、デザイン上のアクセントとなるだけでなく。空気抵抗を最小限に抑えることで燃費性能の向上にも貢献しています。
インテリアは、ドライバー本位に設計されたコックピットと、機能を追求して洗練させたデザインエレメントが目を引きます。手触りまで妥協を許さないというレザーやウッド、アルミニウムなどの素材がその良い例です。また、センターコンソールには開閉カバー付きのカップホルダーが備えられ、数々の収納スペースが日々の使い勝手を向上させます。さらに、iDrive コントローラーと呼ばれるインフォテイメントシステムの操作系は、ドライバーが直観的に操れる場所にレイアウトされるなど、あくまでもドライバー本位に設計されています。
BMWらしくないけど、やっぱりBMW
現行X1は、FFプラットフォームであったり、ディーゼルエンジンが採用されていたり、そもそもSUVスタイルであったりと、昔からのBMWファンにとっては、最もBMWらしくないモデルの1つかもしれません。しかし、実際にハンドルを握り、街を走らせると、BMWであることを実感することでしょう。
現在のBMWは、FRやエンジンの種類といったハードウェアの哲学ではなく、「駆けぬける歓び」というソフトウェアの哲学を重視しています。何が最もBMWらしいか、という問いに対する答えはBMWだけが知っているのです。
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