キックスとヴェゼル。どちらのハイブリッドが優れているの?
2022.11.05
最近選択肢が増えてきたハイブリッド版のSUV。
海外からも多くのハイブリッドSUVが上陸していますが、日本のメーカーでも多くのモデルが登場してきています。
今回はそんな国産のハイブリッドSUVから、リッターあたり20km以上の好燃費をマークするライバルの日産 キックスとホンダ ヴェゼルの2台をピックアップ。
ハイブリッドシステムの違いなどを取り上げつつ、比較検証していきたいと思います。
■モーターだけで走るキックス
日産 キックスは、2016年より南米市場で販売をしていたミドルサイズSUVで、のちに他の地域でも販売を開始。
2020年6月から、国内では初めてとなる「e-POWER」専用車種として販売をスタートしました。
全長4,290mm×全幅1,760mm×全高1,605mmというボディサイズで、日本向けはブラジル版よりも車高が20mmほど高く、ホイールベースも10mmほど拡大されたタイ仕様が販売されています。
2022年7月にはマイナーチェンジを行ない、パワートレインのe-POWERが第2世代へと移行。
燃費性能が改善され2030年度燃費基準90%達成車に認定されるとともに、キックスでは初となる4輪駆動モデルがラインナップされています。
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※価格は支払総額
■モーターとエンジンのいいとこ取りのヴェゼル
2013年から販売をスタートしているホンダ ヴェゼル。
スタイリッシュなデザインで人気を博すミドルクラスのSUVで、現在は2021年4月にフルモデルチェンジを行なった2代目が販売されています。
初代のヴェゼルでも評判の高かったスタイリングは2代目でさらに洗練され、テレビCMが話題に上ったことも相まって人気が集中し、一時は販売計画の6倍以上ものオーダーが入ったほど。
クーペライクなプロポーションを際立たせつつ開放的な視界を生み出す「スリーク&ロングキャビン」を採用し、見た目だけではなく空力性能も追求したスタイリングを身に纏っています。
ボディサイズは、全長4,330mm×全幅1,790mm×全高1,580〜1,590mmで、キックスとほぼ同じ大きさです。
廉価版のガソリン車も用意されていますが、ハイブリッド専用車といっても差し支えないでしょう。
■ハイブリッドと言っても大きな違いがある
2022年7月のマイナーチェンジに伴い、第2世代へと移行したキックスのハイブリッドシステムは、モーター出力を約5%、最大トルクを約7%向上させた第2世代の「e-POWER」です。
日産独自のe-POWERは、ガソリンエンジン、発電機、インバーター、大出力モーターで構成されたパワートレインで、エンジンは発電用としてのみ使用するシリーズ式ハイブリッドです。
タイヤとエンジンがつながっていないことが最大の特徴で、モーターで100%駆動するようになっています。
モーターは始動時から一瞬で最大トルクを出せるため、アクセル操作に対してラグが少なく素早く加速することが可能です。
いっぽうの2代目ヴェゼルが採用しているのが、ホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムの「e:HEV」です。
バッテリーのセル数を増やしモーター出力を上げることでSUVにふさわしい力強い走りを目指したハイブリッド機構で、小型化したPCU(パワーコントロールユニット)を荷室下からエンジンルームへ移動するとともに吸排気経路の最適化など構造の見直しを行なうことで、広い荷室空間を生み出すことに成功しています。
このe:HEVは発進を含む低速域から中速域までをモーターがタイヤに駆動力を伝えるシリーズ式ハイブリッド的な走りを基本としながら、高速域ではエンジンがメインになりモーターがサポートするパラレル式(低負荷時のみ)に切り換わるというシステムで、モーターとエンジンの良さを生かす機構になっているのが特徴。
完全にモーターのみで駆動するe-POWERとはここが大きく違っています。
■キックスe-POWER推しポイント
モーターのみでクルマを走らせるキックスのe-POWERは、モーター駆動ならではの鋭い加速感がポイントです。
第2世代に進化して、3種類のドライブモードと減速力を高めるBレンジを組み合わせることで、シーンに応じた細やかな選択がこれまで以上にできるようになりました。
アクセルペダルを踏んだ瞬間に反応するスムースな加速と室内の静粛性の高さは、モーターのみで走行するe-POWERの特徴ですが、第2世代に進化してエンジン音を感じさせないようエンジン始動タイミングの調整も行なっています。
WLTCモード燃費は、2WDが23.0km/L、4WDが19.2km/Lです。
また3種類のドライブモードと減速力を高めるBレンジを組み合わせることで、シーンに応じた細やかな選択がこれまで以上にできるようになりました。
さらにキックスのe-POWERでは、アクセルペダルをOFFにすると回生ブレーキが作動して減速と同時にバッテリーへの充電を行うワンペダル操作も可能です。
アクセルペダルを緩めるだけで制動力が発生するので、ペダルの踏み替え回数が大幅に減り運転時の疲労も低減します。
ペダルから足を離し、一定以上の減速力がかかるとブレーキランプが点灯し、後続車にも減速が伝わるなど、安全性も考慮されています。
運転支援システムとして、高速走行時のドライバー負担を軽減する前方運転支援の「プロパイロット」や、衝突回避をサポートする「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」などを装備。
2022年のマイナーチェンジ後は「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」を全グレードに標準装備としたほか、「インテリジェントアラウンドビューモニター」や「インテリジェントルームミラー」などを上位グレードに装備するなど充実した内容となっています。
■ヴェゼル e:HEV推しポイント
ヴェゼルが搭載する2モーターハイブリッドシステムのe:HEVは、状況に合わせてエンジンとモーターをフレキシブルに動かせる仕組みになっています。
高出力・高トルクを発揮し、減速時には高効率エネルギー回生も行なう駆動用と、エンジン動力を受けて高効率な発電を行ない走行用モーターに電力を供給する発電用の2つのモーターに、高効率のアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンを組み合わせることで、高い環境性能と走りの楽しさを実現。
WLTCモード燃費は、2WDが24.8〜25.0km/L、4WDが22.0km/Lです。
安全装備ではホンダ最新の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」を全タイプに標準で装備。
フロントワイドビューカメラは先代よりも横方向への視野範囲を向上させ、高速画像処理チップや近距離障害検知前後ソナーセンサーの採用によって機能性を向上させています。
ホンダ独自のセンタータンクレイアウトと、電流や電圧をコントロールする知能デバイスのPCUを荷室下からエンジンルームへ移動させたことで、荷室空間が広くなっていることも特徴です。
■どんなユーザーにおすすめ?
発電用のガソリンエンジンを搭載しモーターのみで駆動するキックスと、2つのモーターにエンジンを組み合わせシチュエーションに応じた走りが楽しめるヴェゼル。
ワンペダルで気持ち良い加速を味わえるキックスは、長距離運転していても疲れにくくアクティブな行動派におすすめ。
対するヴェゼルはなんといってもその洗練されたスタイリングから、街なかをスマートに走るアーバンアウトドア派におすすめといえるでしょう。