ジープ ラングラー 3代目(JK型)/4代目(JL型)の識別ポイントを解説
2021.09.01
かつては戦場を駆け回っていたオフローダー車の元祖ともいえるJEEP(ジープ)。
その姿を現代にまで受け継いでいるのがジープブランドが手掛けるラングラーです。
初代ラングラーは1987年に登場し、現在も販売が継続されている息の長いモデルですが、3代目(JK型)と現行モデルの4代目(JL型)はよく似ており、その違いについてあまり把握していない方も少なくありません。
そこで今回は、3代目(JK型)と4代目(JL型)の違いについてお届けしたいと思います。
■およそ10年ぶりとなったフルモデルチェンジ
3代目(JK型)
3代目(JK型)がデビューしたのは2006年の北米国際オートショーでのこと。
その翌年となる2007年に市販モデルとして発売されました。
先代のラングラーよりもボディサイズが大型化され、これまで2ドアのみだったのに対し、3代目からは4ドアモデルの「アンリミテッド」もラインアップされています。
ボディサイズの拡大にともないホイールベースも延伸され、その結果として室内空間の広さも向上しました。
そんな3代目(JK型)は2017年まで製造され、2017年のLAオートショーでデビューした4代目(JL型)へとバトンタッチされます。
4代目(JL型)は2018年から発売を開始し、同年秋には日本市場でも販売をスタートしました。
3代目(JK型)に引き続き、4代目(JL型)も同じく2ドアモデルと4ドアモデル「アンリミテッド」を販売。
発売当初の4ドアモデルでは、アンリミテッド スポーツと上級グレードのアンリミテッド サハラ ローンチエディションが導入されています。
のちに、この4ドアモデルにはさまざまなバリエーションが用意され、電動開閉式ルーフを持つルビコン スカイワンタッチパワートップといった特別使用車や、米国ではハイブリッドモデルなども登場しています。
余談ですが、3代目(JK型)/4代目(JL型)どちらのモデルにも、フリーダムトップと呼ばれる手動で着脱可能なデタッチャブルルーフが採用されており、ハードトップのほかにオープンスタイルでも乗ることができるようになっています。
■全長&ホイールベースと全幅が拡大したボディサイズ
3代目(JK型)
3代目(JK型)のボディサイズは全長4,705mm×全幅1,880mm×全高1,845mm(アンリミテッド サハラ 3.6L)という大きさ。
対する4代目(JL型)は全長4,870mm×全幅1,895mm×全高1,840mm(アンリミテッド サハラ 3.6L)という大きさで、全長および全幅が大きくなる一方、全高は逆に低くなっています。
ホイールベースは3代目(JK型)が2,945mmなのに対し4代目(JL型)では3,010mmと延伸され、それによって室内空間が広くなっています。
ちなみにホイールベースが延伸されたのにもかかわらず最小回転半径が7.1mから6.2mとなり、取り回しが良くなっているのも4代目(JL型)の特徴です。
また、一見すると分かりませんが、4代目(JL型)はアルミボディを採用し一部パーツにはマグネシウムを使用することで軽量化にも成功。
約90kgの軽量化を実現したことに加え、フロントガラスの角度を寝かしたことで空気抵抗値も改善されており、それらによって燃費性能が向上しています。
フロントマスクはどちらもジープ伝統の7スロットグリルを採用していますが、3代目(JK型)がハロゲンヘッドライトだったのに対し、4代目(JL型)ではヘッドライト、フォグライト、テールランプなどをLED化。
ラングラー初のLEDライト搭載モデルとなりました。
さらにフロントフェンダー部にLEDのデイタイムランニングライトが付けられ見た目のアクセントになっているほか、昼夜問わず視認性が向上しています。
■使い勝手がさらに進化したインテリア
3代目(JK型)
インテリア(内装)では、エアコン送風口の配置やメーターパネルのデザイン、またインパネ中央に埋め込まれた液晶ディスプレイのサイズなどが変わりました。
3代目(JK型)ではナビシステムがオプションだったのに対し、4代目(JL型)は標準装備され、メーターパネル内にも7インチマルチビューディスプレイが搭載されています。
4代目(JL型)
また3代目(JK型)のスタート&ストップは従来どおりキーを挿し込む仕様になっていましたが、4代目(JL型)ではプッシュボタン式に変更。
これにともないスマートキーが採用され、キーレスエントリー(Enter'N Go)にもなっています。
居住空間では、4代目(JL型)の後席空間が向上。
ホイールベースの延伸によって足もとスペースが広くなっただけでなく、背もたれ部分の角度が寝かされており、これによってリラックスした姿勢で座れるだけでなくヘッドクリアランスにもゆとりが生まれました。
またセンターコンソール後方にエアコン送風口を装備されており、冷暖房が後席に直接届くようになったのも特徴です。
■新たにダウンサイジングターボエンジンをラインアップ
新開発2.0L 直4ツインスクロールターボエンジン 3代目(JK型)のパワートレインは3.6L V6エンジンを採用。
それに対し4代目(JL型)では、改良型の3.6L V6エンジンに加えて、維持費が安く抑えられるダウンサイジングターボである新開発2.0L 直4ツインスクロールターボエンジンを合わせて採用しています。
トランスミッションは大きく進化しており、3代目(JK型)が5速ATだったのに対し、4代目(JL型)では8速ATを採用。
これによりスムースな加減速ができるようになったほか、燃費性能の向上にも貢献しています。
駆動方式は3代目(JK型)から変わらず4WDのみの設定ですが、4代目(JL型)では従来のパートタイム4×4に加え、ラングラー初となるフルタイムオンデマンド4×4システム(セレクトラックフルタイム4×4システム)を搭載。
また新設定グレードのルビコンでは、さら悪路走破性に優れたロックトラックフルタイム4×4システムが採用されています。
■10年で圧倒的に充実した安全装備の内容
ブラインドスポットモニター およそ10年ぶりのモデルチェンジとなったことで、大きな差がついているのが安全装備の内容です。
3代目(JK型)では、デュアルエアバッグ&サイドバッグやエレクトリックスタビリティコントロール、エレクトリックロールミティゲーション、トラクションコントロール、ブレーキアシストなどが標準装備されていました。
4代目(JL型)では、ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション(後方監視装置)をはじめ、速度を自動調節して安全な車間距離をキープするアダプティブ・クルーズ・コントロール(STOP機能付)、前面衝突警報(クラッシュイティゲーション付)などを標準装備し、予防安全装備を高めています。
また、駐車をサポートするParkSenseフロント&リアパークアシスト、シフトをRに入れると自動的に後方の様子をモニター表示するParkviewリアバックアップカメラ(トレーラービュー機能付)などの駐車支援装備も標準装備となっています。
3代目(JK型)と4代目(JL型)は、見た目こそキープコンセプトのままで同じような感じですが、パワートレインやトランスミッション、さらに機能面や安全装備でも大きく進化していることがよく分かりました。
ジープらしいスタイリングを守りつつ、現代らしく洗練された4代目(JL型)と、昔ながらの乗り味が楽しめる3代目(JK型)。
それぞれ個性のある世代のラングラーといえるでしょう。