SUV専用タイヤでも雪道を走れるのか?
2022.02.10
ゴツゴツした見た目がカッコいいSUV専用タイヤ。
MT(マッドテレーン)タイヤやAT(オールテレーン)タイヤと呼ばれ、力強いスタイリングをさらに際立たせてくれます。
もちろんSUVに特化した機能性も備わっていますので、アウトドアシーンでは強い見方になってくれます。
とはいえ、それらのタイヤは雪道でも走行できるのでしょうか。
タイヤの特徴とともに解説していきます。
■MTタイヤ、ATタイヤとは?
MTはマッドテレーンの略で、マッドは泥、テレーンは地形を表します。
つまりMTタイヤは、泥や砂地のような柔らかい地形でもトラクションを確保できるよう開発された、オフロード性能に特化したタイヤです。
MTタイヤはトレッド面からサイドウォールにかけて高い剛性のブロックを配置し、深い切込みを入れているのが特徴で、柔らかい泥でタイヤが目詰まりすることなくしっかり路面をつかみ、グリップを確保するという仕組みです。
また岩場のようなゴツゴツした場所でもブロックがしっかり岩の角をつかむため、高いトラクションを確保することができます。
ただし舗装路では接地面積が少なくなるためグリップが低下しますし、硬いゴムなので走行音が大きく、また燃費も悪くなります。
一方ATはオールテレーンの略です。
オールはすべてという意味ですから、ATタイヤはあらゆる地形に対応したタイヤ、という意味です。
MTタイヤほどのオフロード性能はないものの、舗装路での安定した走りにも対応させた万能型のタイヤと言えるでしょう。
他にもHT(ハイウェイ・もしくはハイスピードテレーン)タイヤというのもあります。
こちらはATタイヤのオンロード性能をさらに高めたタイヤで、高速道路でのロードノイズを抑えたり、ロングドライブでの快適な乗り心地を楽しむことができるタイヤです。
オンロード主体の使い方で、時々オフロードでも遊びたいという方に向いているでしょう。
■本格的な雪道には対応できない
MTタイヤやATタイヤには「M+S(スノー)」という刻印がされている場合があります。
これは雪にも対応しているという意味になりますが、どんな雪道でも良いわけではありません。
この刻印がないタイヤに比べて、軽く降った程度の雪道なら対応している、という意味です。
路面が凍結していない状態でふわふわの新雪が少し積もっているという状況なら問題なく走行できるでしょう。
また雪が溶けてシャーベット状になっているような状況でも、ある程度なら走れます。
しかし問題なのは路面が凍結している時です。
気温0℃ぐらいでアイスバーン状態だと非常に滑りやすくなりますが、この状況ではMTタイヤでもATタイヤでも全く歯が立ちません。
むしろ、ブロックが硬くて接地面積の少ないMTタイヤは危険です。
ですから冬の山道など、気温が急激に変化するような場所を走行する時には特に注意する必要があります。
■雪道ではやはりスタッドレスがおすすめ
凍った路面でタイヤが滑るのは路面の氷そのものではなく、氷が溶けてできる水が氷の上に膜を作るためです。
この水の膜がタイヤとの間に入り、タイヤを滑らせます。
スタッドレスタイヤはこの水の膜を素早く取り除き、柔らかいゴムを路面にしっかり密着させることで滑りにくくさせるという仕組みです。
また細かいエッジで路面を引っ掻きながらトラクションを確保するという機能もあります。
ですから極低温時でも柔らかいゴムを採用したスタッドレスタイヤでなければ、この性能を発揮することができないというわけです。
MTタイヤやATタイヤはオフロード性能の高いタイヤですが、極低温に対応した柔らかいゴムを使っているわけではありません。
むしろ硬いゴムによって剛性を確保しています。
ですからM+Sが刻印されたタイヤであっても、凍結路では走行できないということを覚えておきましょう。
やはり雪道で最高の性能を発揮してくれるのはスタッドレスタイヤです。
雪国にお住まいの方はMTタイヤ、ATタイヤに頼るのではなく、冬はスタッドレスタイヤに交換するのが一番安全です。
普段それほど雪が降らないという地域にお住まいの方であれば、オールシーズンタイヤを装着するのも良いでしょう。
そしてタイヤに。スノーフレークマーク(山の中に雪の印)が付いているものがおすすめです。
これは高速道路の冬タイヤ規制時にもチェーン装着なしで冬用タイヤとして認められるものです。
しかし、その場合でもスタッドレスタイヤに比べると雪道での性能は劣ってしまいます。
凍結路ではマークなしのタイヤとあまり変わりませんので、過信しないように気をつけましょう。
MTタイヤやATタイヤだけで雪道を走行するのは大変危険です。
スタッドレスタイヤの準備がないのであれば、チェーンを携行するようにしましょう。
お住まいの地域や普段走行する道路の状況に応じて、正しいタイヤ選びをしましょう。