【ハイブリッド比較】話題のトヨタ 5代目RAV4 ハイブリッドアドベンチャー VS 日産 3代目エクストレイル オーテック ハイブリッド
2022.02.04
■オフローダー然としたスタイリングで復活したトヨタ 5代目RAV4
SUVが人気のカテゴリーになって久しいですね。
2020年の国産乗用車販売に占めるSUVの比率はなんと28.2%。
商用車などを含めたものとして考えるとこれはかなりの数字で、将来的にはミニバンを超えるのでは、という予測まであります。
数年前から特に勢いがあるのはトヨタで、完全な新型車として登場したC-HRとライズ、改良が進むハリアー、ヤリスクロスにカローラクロスなどで一気にラインアップを充実させ、よりSUVに特化したことをアピールしています。
そして大きな話題となったのは2019年に発売された現行型RAV4。
実はRAV4は国内で2016年に3代目で販売を終了していた車種で、4代目は海外専売モデルに。
12年ぶりの国内登場で世代的には5代目となります。
初代RAV4といえばRVブームが長く続いていた1994年に発表された小型SUVで、5ナンバーサイズながらフルタイム4WDを搭載、専用設計の足回りに新規フロアパネルを採用するなど、かなりこだわって作られた名車です。
続く2代目から4代目までは主に北米での需要を反映する形で徐々に車格が大型化。
シティ派SUVとして進化していきました。
そして登場した5代目はタフなオフローダー然としたデザインを身にまとい、広報映像でもガンガン悪路を走っていく姿が使われるなど、キャラクター性をよりヘビーデューティーな方向へシフト。
SUVブームともいえる現在、トヨタのSUV販売を牽引する人気車種となりました。
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■アクティブに使えるオフロード車 3代目エクストレイルがライバル
5代目RAV4とよく比較される車種の中でも特に車格やユーザー層が近いものは日産 エクストレイルです。
2000年に2.0Lエンジンを搭載して初代が登場。
X(エクストリーム・スポーツ:スケートボードやBMXなど若者を中心に人気のアクティブなスポーツ)+トレイル(荒れた道)でX・トレイル→エクストレイル。
名前の通りアクティブに使えるオフロード車というコンセプトで、発売直後から幅広い世代に親しまれ、現在3代目が継続して販売されています。
雪や水流をかき分けて爆走するエクストレイルの映像にゴキゲンなロック(The Clash - I Fought the Law)を組み合わせたテレビ CMが頭に残っている方も多いでしょう。
初代から2代目はキープコンセプトで、ギア(道具)感を重視したゴツゴツとしたデザイン。
対して、3代目は少しアーバン寄りなデザインモチーフが取り入れられました。
これは2代目の兄弟車種であったデュアリスのエッセンスを統合した事で生まれたもので、フロント周りからリア周りまでより洗練された造形となりました。
走破性については初代から3代目まで継続して日産独自のオールモード4×4を搭載し、ボディに溶け込んだデザインのルーフレールを装備。
防水シートはもちろん、各種電子装備も充実しています。
さて今回はこのトヨタ 5代目RAV4と日産 3代目エクストレイルのうち、価格帯やグレードが比較的近い2車種
・5代目RAV4 ハイブリッド アドベンチャー(410万6000円)
・3代目エクストレイル オーテック ハイブリッド iパッケージ4WD(412万5000円)
こちらを比較します。
■それぞれにこだわりを感じる両者のエクステリア
まず5代目RAV4 アドベンチャーハイブリッド(以下RAV4と表記)の外観ですが、一目で分かる通り初代RAV4から考えるとかなりマッシブなクルマへと変貌しています。
また、2021年末のアップデートによりハイブリッド車はヘッドライト内部のデザインがブラックアウト+フルLED化によりガソリン車と大きく異なるイメージに。
より鋭い目つきへと進化し、逞しさやタフさを強調したものとなりました。
ホイールはアドベンチャーに専用のマットグレーアルミホイールが設定され、より精悍さを増したサイドビューを獲得しています。
XおよびGとアドベンチャーではバンパー及びグリルのデザインが大きく異なり、今回紹介するアドベンチャーはガソリン、ハイブリッドともにアンダーガードを思わせる造形のリップとリアバンパーを装備。
また、アドベンチャーにのみ設定されたツートンカラー(アッシュグレーメタリックxアーバンカーキまたはアッシュグレーメタリックxグレイッシュブルー)も魅力的で、過去に販売していたFJクルーザーやランドクルーザー40を思わせるポップな色合いになっています。
ボディサイズは全長4,610mm×全幅1,865mm×全高1,690mmで、日常での使い勝手を考慮したちょうどいいバランスとなっていますが、機械式駐車場は全幅制限が1,850mmという場合が多いので、駐車場選びには少し注意が必要でしょう。
一方エクストレイル オーテック ハイブリッド iパッケージ(以下エクストレイルと表記)は、2013年に登場した3代目エクストレイルを、日産のグループ会社であるオーテックジャパンが仕上げた純正カスタムカーです。
専用の前後バンパーやフロントグリル、ボディ同色のガーニッシュ等でより洗練された見た目に仕上がっており、どちらかというと元来エクストレイルが持っていたアウトドアギア的なタフさを抑え、より上質なクルマを目指した結果としてこういったルックスを手に入れたという一台です。
専用色はカスピアンブルーというオーテックのコーポレートカラーで、同じくブルーのAUTECHエンブレムが光ります。
また、専用装備として19インチアルミホイールを装着しています。
そして、マフラーはこれもまた専用品のデュアルエキゾーストで、リア周りのルックスをグッと引き締める形状。
純正カスタムらしいまとまりと上品さで、エクストレイルが持つ魅力を存分に強化したパッケージングとなっています。
ボディサイズは全長4,705mm×全幅1,830mm×全高1,745mm。
先に紹介したRAV4と比較して全長が+95mm、全幅が-35mm、全高が+55mmとなっていますが、サイズ感的にはほぼ同等です。
ちなみにこちらは全幅が1,850mmを下回っているので、駐車場が探しやすいのが特徴です。
■甲乙つけがたいインテリア
まずRAV4についてですが、全体的にオフローダー気質であるホリゾンタル(平行)なデザインをしつつ、各部に合皮やステッチなどの小技を効かせた「イマドキ」のインテリア(内装)になっています。
また面白い点としては、視界確保のためのアイデアが各所に盛り込まれているところ。
自然過ぎてあまり目立たないのですが、ドライバーの視点からワイバーアームが見えないよう配置されていたり、使い勝手を重視して余計な加飾が抑えられたパネル全体を覆っているなど、とにかく「楽しめる事」を前面に出した仕上がり。
シートアレンジも多彩で、普段使いから車中泊まで対応する懐の深さを感じます。
また、運転席/助手席にはシートヒーターだけでなく、なんと蒸れや不快感を抑えるシートベンチレーションまで装備しているのです。
アウトドアを堪能したあとでも快適に運転できるという部分までしっかりと手を回してあるあたり、トヨタのクルマ作りは本当に上手いなと感心してしまう完成度です。
そして対抗馬のエクストレイルは、オーテックの手による専用装備のオンパレードで古さやデザインのマンネリを解消しており、ノーマルと比較するとかなり高級感のある仕上がりとなりました。
各部にブルーをあしらったさわやかな部品が使われ、AUTECH刺繍が入った本革シートや革巻きで手に馴染む専用ステアリングとシフトノブなど、素のエクストレイルでは味わえない独特の空気感を纏っています。
また、日産が誇るプロパイロット操作パネルも綺麗にステアリングに収まり、全体として洗練された印象を受けます。
シートヒーターは前2席だけではなく2列目の左右にも装備されているのも嬉しいポイント。
荷物の使い勝手は初代から続くアイデンティティで、様々なバリエーションで使えるよう工夫を凝らしてあり、クルマとしてはプレミアムな仕上げになっていつつも、エクストレイルが持つタフさやユーティリティはしっかりと残しています。
■パワートレインはRAV4に軍配が上がるも、互いに優れた4WD機構を装備
・RAV4 ハイブリッドアドベンチャー
エンジン形式:直列4気筒DOHCガソリンハイブリッド
排気量:2.5L 最高出力:131kW(178PS)/5,700rpm
最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3,600〜5,200rpm
モーター最高出力:フロント88kW(120PS) リア40kW(54PS)
モーター最大トルク:フロント 202Nm(20.6kgm) リア 121Nm(12.3kgm)
燃料消費量(WLTCモード):20.3km/L
トランスミッション:CVT 4WD:E-Four(電気式四輪駆動)
・エクストレイル オーテック ハイブリッド iパッケージ
エンジン形式:直列4気筒DOHCガソリンハイブリッド
排気量:2.0L
最高出力:108kW(147PS)/6,000rpm
最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4,400rpm
モーター最高出力:30kW(41PS)
モーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)
燃料消費量(WLTCモード):--(参考値:20Xi ハイブリッド 13.8km/L)
トランスミッション:CVT
4WD:インテリジェント4×4(機械式四輪駆動)
スペックで比較すると排気量差もありますが、やはり後発のRAV4はあらゆる部分でエクストレイルを凌ぐ性能を持っており、前後にモーター動力を有するなど、まさに最新の電子制御ハイブリッドSUVと言えます。
一方、それぞれの4WDシステムについてはどちらもかなり優れたものを装備しています。
RAV4が搭載するE-Fourは最新式にアップデートされたものが搭載されており、前後輪トルク配分を100:0からなんと20:80まで幅広く調整するダイナミックな機構で、組み合わせられるモーターの制御による力強いトラクションが魅力です。
エクストレイルが搭載するインテリジェント4×4はオンロードや公道走行での雪や豪雨といった状況での操作性を重視するセッティングですが実際にはかなり高い悪路走破性を持っており、タフギア感を売りにしていた初代から変わらず頼りがいのあるものとなっています。
前後輪のトルク配分は100:0から50:50で、通常走行時は燃費やハンドリングの軽快さを重視したFF状態、トラクションが必要な場面で後輪にトルクを配分するスタンバイ式4WDとなっています。
■安全装備はさすがの日産
双方の安全装備は同等のものも多く、衝突被害軽減ブレーキはもちろん、レーンキープアシストや踏み間違い防止アシスト、標識検知、360度パーキングモニターなどが装備されています。
それに加えて日産は自慢のプロパイロットだけではなく、インテリジェントライドコントロール(車体振動抑制システム)やインテリジェントエンジンブレーキ、インテリジェントトレースコントロール(コーナリング安定性向上システム)、インテリジェントパーキングアシストなどなど、枚挙に暇がないほどの先進技術をエクストレイルに標準装備として詰め込んでいます。
このあたりの違いは双方の設計思想由来というより、ずっとこれらの技術をもくもくと磨き続けてきた日産のこだわりであり、エクストレイルのアドバンテージです。
■甲乙つけがたい両車。さあ、どちらと冒険しよう?
RAV4はとにかく「好きにまみれろ!」のキャッチフレーズ通りで、アクティブな趣味に全力で没頭したい人にピッタリの相棒です。
力強いパワートレインと高いオフロード走行性能、そしてタフなルックスは満足感も高く、様々なアクティビティで活躍してくれます。
エクストレイルはSUVでありつつも知的さが感じられ、各種安全性能が充実しているだけでなく、プレミアム感のあるエクステリアや快適なインテリアも魅力。
クルージングからラフな山道やワインディングなどを楽しみたい方におすすめしたいクルマです。
オンロードユースが多いのであればエクストレイルの方が快適でしょうし、相棒感を求めるのであればRAV4と、いろいろと推したい部分はそれぞれにあるのですが、どちらも魅力溢れる国産SUVとして、今後もシーンをリードしていって欲しいですね。