ランクルはなんで川を走れるの?渡河性能について詳しく解説
2022.02.06
ランクルのような本格オフローダーであれば、大自然の中でのドライブも楽しみの一つです。
ちょっとした川なら簡単に渡れてしまうそのワイルドな走りに憧れますね。
普通の乗用車ではすぐに壊れてしまうような冠水時にも、ランクルなら頼もしい存在になります。
もちろん、ランクルであればどんな深さの水に入っても良いというわけではありません。
そこで重要になってくるのが「渡河性能」というスペックです。
どんな性能なのか、本記事で解説していきましょう。
■渡河性能とは?
普段あまり見ない渡河性能という言葉ですが「とかせいのう」と読みます。
読んで字の如し、なのですが、どのくらいの水深までなら走行可能なのかを示すスペックです。
ランクルを始めとする本格オフロードモデルのカタログに記載されていることが多く、それが一つのウリであるとも言えます。
最新モデルのランドクルーザー300系の場合、最大渡河性能は700mmと記載されています。
これは、水深700mmまでなら設計上安全に走行できるという意味です。
ZXに装着されるタイヤサイズは、265/55R20で、外径寸法は約800mm。
ですからタイヤが隠れるほどの水深は走行できない、ということになります。
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■ランクルが川を渡れる理由
クルマには水に弱い電装系が装備されていますし、エンジンに取り入れる空気から水が侵入してしまうと、当然エンジンは止まってしまいます。
もちろんある程度の水たまりなら問題なく走行できるよう、一般的な乗用車であれば水深300mm程度までなら走行ができると言われています。
これはセダンタイプならドアの下端、車内の床が浸からない程度までの高さです。
しかし10km/h程度のゆっくりした速度でなければ、水深が浅くても水を跳ね上げてしまうこともあります。
これは近年人気のクロスオーバーSUVでもほとんど変わりません。
ですから少し車高が高いからといって冠水路を走行しようとするのは危険です。
ではなぜランクルは水深700mmでも走行することができるのでしょうか。
それはランクルのような本格的なオフローダーの場合、こうした電装系や吸気口を高い位置にし、水の影響を受けにくい設計にしているからです。
ですから一般的な乗用車やクロスオーバーSUVとは違い、渡河性能としてカタログに記載することができます。
■ランクル以外に川を渡れるクルマはあるの?
ランクルのような設計のモデルは他にもあるのでしょうか。いくつか紹介します。
・ジープ ラングラー(渡河性能:762mm)
ラングラーはジープブランドの本格オフロードSUVです。
堅牢なラダーフレームと電子制御フルタイム4WDシステムによる確かな悪路走破性を確保するとともに、アンリミテッド・ルビコンには、4Lモードの低レンジ化と前後デフロックを実現するロックトラック4×4システムを搭載。
ジープブランドで最も高いオフロード性能を発揮します。
・メルセデス・ベンツ Gクラス(渡河性能:700mm)
「ラグジュアリー・オフローダー」として世界中のセレブから大人気のメルセデス・ベンツ Gクラス。
2018年に現行型となる新型がリリースされました。
新設計のラダーフレームや軽量化したボディ、新しい9速AT、最新のエンターテインメントシステムなどで走りの質感と高級感、先進性が大幅に向上。渡河性能に関しては従来モデルより100mm以上高められ、オフロードシーンでの走りにも磨きがかかっています。
・ランドローバー ディフェンダー(渡河性能:900mm)
ディフェンダーは、ランドローバー社の本格オフロードモデルです。
現行型は2020年に登場しましたが、本格的なオフロードモデルに多いラダーフレーム構造ではなく、新型はアルミ製のモノコックボディを採用しています。
電子制御4WDシステムに加えて、あらゆる路面状況下でトラクションを発揮する電子制御アクティブデファレンシャルをオプションで用意。
またグレード別装備ですが、電子制御エアサスペンションも用意され、車高を最大で+145mmまでアップすることができます。
そんなディフェンダーの渡河性能は驚きの900mm(エアサスペンションモデルの場合)。
ランドローバー独自の走行モードであるテレインレスポンスで、渡河走行モードにすると、車高を最大限まで上昇させます。
またドアミラーの超音波センサーで最大渡河水深に近づくと表示と警告音で知らせるウェイドセンシングも機能します。
■【番外編】スズキ ジムニー(渡河性能:公表なし)
軽自動車の本格オフロードSUVという唯一無二のパッケージングで人気のジムニー。
コンパクトなボディと軽さを生かした本格的なオフロード性能が特徴ですので、渡河性能は気になるところですよね。
ところがジムニーの場合渡河性能は公表されておらず、公式の情報として得られるのは、ジムニーの説明書にある「水深30cm以上のところは走行しない」という注記ぐらいです。
ジムニーの最低地上高は205mmですので、実際にはもう少し水深があっても走行できそうですが、メーカーではあまり推奨していないということなんでしょうね。
ボディサイズが小さく設計の自由度が少ないことや、軽い車体ですので水に入ると浮きやすい、という理由もあるのかもしれません。
最近は自然災害が多いので、いざという時に冠水路でも走行できるSUVが気になるという方もいるでしょう。
しかし渡河性能をはっきり記載したモデルは少ないので、どんなSUVでも水の中にどんどん入っていけるということではありません。
渡河性能の高いモデルでも、冠水路は水中の様子が分からず、障害物にぶつかる危険性もありますので、災害時にはなるべく避けて走行するようにしましょう。
アウトドアで走行する場合にも安全に川を渡るためには経験や技術が必要です。
最初は無理をせず、経験のある方と一緒に走行するようにしましょう。