E-POWERってハイブリッド?、それともEV?
2019.11.16
近年、セレナやノートの販売台数を押し上げる要因となっているのが、日産の新しい技術であるe-POWERの存在です。エンジンを積んでるのにもかかわらず、走行はつねにモーターで行うというe-POWERというパワートレインを積んだクルマは、ハイブリッド車?それともEVなのでしょうか?
ハイブリッドは大きくわけて3種類
そもそもハイブリッド車とは、内燃機関(ガソリン・ディーゼル)と電気モーターという、異なる複数の動力源を組み合わせたクルマのことです。 そのハイブリッドには大きくわけると、パラレル方式、シリーズ方式、シリーズパラレル方式(スプリット方式)の3種類があり、それぞれ特性が異なります。
まずパラレル方式は、エンジンメインのシステムですが、エンジンとモーターという2つの動力源を併用しています。ざっと説明すると、エンジンが不得手な発進加速はモーターが受け持ち、高速域をエンジンが受け持つことで、燃費効率を高めます。
またエンジンをメインとし、発進時や加速時に、パワー不足を感じると、モーターを駆動させるマイルドハイブリッドも、このパラレル方式に含まれます。パラレル方式は、既存の内燃機関に比較的低コストで組み入れることができることも特徴です。
シリーズ方式は、車両の動力源はモーターのみ。このモーターを駆動させるために必要な電気エネルギーは、エンジンが発電機を動かしてバッテリーに充電します。燃料電池車もこの方式です。
ボディサイズが小さく、バッテリーのサイズを大きくできない、比較的なコンパクトなクルマに向いています。 シリーズパラレル方式は、トヨタ系ハイブリッドで用いられている機構です。エンジンとモーターの動力分割機構を持っていることが特徴で、エンジンは駆動と発電の両方に使うことができます。
エンジン単独、モーター単独、両方と、ハイブリッドの仕組みをもっとも効率よく利用できるシステムで、ストロングハイブリッドとも呼ばれます。 現在、日本車のハイブリッドは、多くがこのシリーズパラレル方式となっています。
EVの仕組み
電気自動車(EV)は、エンジンがなく、バッテリーとモーターでクルマを動かします。クルマの動力となる電気エネルギーは、自宅やEVチャージスポットのような施設から充電し、溜めた電気を少しずつ使いながら、モーターを駆動させます。
内燃機関を持たないので、走行中には排気ガスを出すことも無く、エンジンによる振動や音も皆無と、クリーンな動力源です。
e-POWERはシリーズ方式とEVの中間
日産のe-POWERは、シリーズ方式のハイブリッドに分類されます。 バッテリーは一般的なハイブリッド車と同等の容量を持ち、エンジンはバッテリー充電を行うためだけに搭載されています。
その充電は、エンジンからのみで、バッテリーが不足ぎみになると、エンジンを始動させて発電機を動かします。 現在では、1回の充電でかなりの距離を走ることができるようになったEVですが、ガソリンの給油に比べて充電に要する時間が長く、それが導入が進まない背景にもなっています。
その点e-POWERは、これまでのガソリン車同様の使い方で、EVの動力性能をしっかり享受できる新しい機構となっているのです。
e-POWERを搭載している車種
現在、e-POWERを搭載しているのは、ノートとセレナの2車種です。 ノート e-POWERは、車両本体価格193万7100円~。上位グレードには、ラグジュアリーなメダリストや、スポーティなNISMOも用意されています。
もっとも燃費の良いのはベースグレードで、JC08モードで37.2km/Lを実現しています。 もう1台のセレナ e-POWERは、車両本体価格299m万7500円~。
人気のハイウェイスターでもe-POWERを選ぶことができます。燃費はJC08モードで26.2km/Lと、ミニバンの中ではトップクラスの燃費を実現しており、トヨタ系のハイトハイブリッドミニバンにも負けない燃費性能を誇ります。
まとめ
EV市場に積極的に参入している日産が、現代のインフラに合わせてEV良さを多くのユーザーに体感してほしいと発表した新機構が、e-POWERです。ガソリンエンジンに慣れた国内のユーザーがEVに移行するための第一歩として、価格、性能ともに、魅力的なシステムと言えるでしょう。