パジェロミニ VS ジムニー 〜なぜパジェロミニはジムニーに勝てなかった?〜
2020.08.05
軽自動車の本格SUVといえば、すっかりジムニーの独壇場となっていますが、過去にはライバル関係とも言えるモデルが存在していました。
それが三菱自動車から販売されていたパジェロミニです、最終的にパジェロミニは生産終了となってしまいましたが、ジムニーとの違いはどこにあったのか?
2台を比較してみましょう。
■パジェロミニってどんなモデル?
パジェロミニは、1994年末に三菱自動車を代表するSUVであるパジェロの弟分としてデビューしました。
3ドアライトバンスタイルのボディに、最低地上高が高く確保されたクロカンスタイルは、ジムニーのライバルとも言える存在でした。
”乗用車感覚で乗れる本格RV”として人気となったパジェロ弟分らしく、パジェロミニのコンセプトは、”アウトドアから街乗りまであらゆる状況で乗りやすいオールランドRV”というもの。
見た目だけでなく、中身もしっかりパジェロを受け継いでいたのです。
1998年には、軽自動車新規格に合わせた2代目がデビュー。
新開発のエンジンやトランスミッションを採用した2代目のボディは、全長+10cm、全幅+8cm、ホイールベース+8cmなど、ボディがひとまわり大きくなるとともに、角型ヘッドランプにメッキのフロントグリル、オーバーフェンダー、ツートーンカラーなど、パジェロの意匠を上手にアレンジした結果、パジェロらしさを強めました。
この2代目は、2012年3月に生産終了。
初代がジムニー2代目(1981〜1998年)と、2代目が3代目ジムニー(1998〜2018年)とライバル関係にありました。
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※価格は支払総額
■4WDとフレームでの違い
パジェロミニとジムニーは、一見ライバル関係にあったのですが、販売面はつねにジムニーの後塵を拝することになります。
その要因は、どこにあったのでしょうか?
まず車体の基本骨格となるフレーム構造ですが、ジムニーは強度の面で有利かつ、ボディが損傷を受けても走行性能に対する影響が少ないラダーフレーム構造。
対してパジェロミニは、初代はラダーフレームとモノコック構造を組み合わせたビルトインフレーム構造で、2代目はモノコック構造です。
駆動方式は、ジムニーはパートタイム4WD、パジェロミニは自社開発のイージーセレクト4WDというシステムを搭載しています。
どちらも2WDか4WDかをドライバーが任意で切り替えることができ、4WDにはHi/Loが用意されます。
フレーム構造と4WDメカニズムからわかるのは、ジムニーが信頼性の高いものを使っていたのに対し、後発のパジェロミニは新しいやり方を積極的に採用した挑戦者だったということでしょう。
■オフロード性能はパジェロミニも十分に持っている
ボディの改造までふくめたラフロードでの性能は、ラダーフレームのジムニーのほうに分がある両車ですが、”アウトドアから街乗りまであらゆる状況で乗りやすいオールランドRV”という視点から見れば、パジェロミニの作りは決して間違ってはいないのです。
特に、軽自動車規格が変更された2代目は、モノコック構造のボディに1気筒あたり5バルブという凝ったメカニズムの4気筒エンジンに、三菱が得意とするターボ技術を使ったツインスクロールターボを装着。
これらよって、一般道での快適性を高めていました。
またイージーセレクト4WDシステムはHiモードとLoモードが選択でき、最低地上高も195mmと大きく、本格的なオフロード走行にも十分に対応可能で、一般ユーザーがアウトドアレジャーやウィンタースポーツを楽しむには申しぶんのない性能が確保されていたのです。
ところが1990年代後半は、すでにRVの人気が陰りをみせはじめていた時期であり、また軽自動車にはスペース効率が求められており、ライトバンスタイルのパジェロミニは、かえって中途半端な存在となってしまったのです。
十分なオフロード性能を持ちながら、快適なオンロード性能も兼ね備えるパジェロミニは、軽自動車のラインアップが飽和状況にある現代でこそ輝けたモデルなのかもしれませんね。
■オフロードを走れる軽自動車が欲しいならパジェロミニも大いにアリ
最終的にジムニーに敗北を喫してしまったパジェロミニですが、その実力と利便性はジムニーに引けをとりません。
「オフロードを走れる軽自動車」と聞くとジムニーが真っ先に浮かびますが、中古車でこのジャンルを検討している方は、パジェロミニも検討してみてはいかがでしょうか?