航空機メーカーをルーツとする2社のSUV。フォレスターとX1
2021.03.28
水平対向エンジン+四輪駆動システムというパワートレインが生み出す独特の走りが人気のスバルと、スポーティな路線に強いこだわりを持つドイツの高級車メーカーBMW。
2社の共通点は何だと思いますか?
答えは“航空機メーカーをルーツに持つ”ことです。
1900年代初期頃から、スバルは前身である中島飛行機として航空機を、BMWはバイエルン航空機製造として航空機用エンジンを、それぞれ軍需を中心に開発・製造してきたという歴史があります。
そんな興味深い背景は、独自の自動車設計ノウハウに加え、ブランディングにもおおきく影響をおよぼし、こだわりのファンを獲得しています。
なかでもBMWのプレミアムコンパクトSUVであるX1は、現行型が2世代目。
2015年デビューということもあって中古車価格がこなれて、国産ミドルクラスとかわらない価格帯に入ってきました。
そんなBMWのX1(現行型)と、スバルのミドルクラスSUVのフォレスター(現行型)を比較してみましょう。
■中古車市場ではガチンコライバルの2台
まずそれぞれの新車価格ですが、2015年デビューのX1は385万円〜591万円(2015年発売当時)、2018年デビューのフォレスターは281万円〜310万円(2018年発売当時)と、やはりプレミアムコンパクトのX1のほうが高くなります。
しかし、現在の中古車価格で比較するとX1は、約180〜450万円、フォレスターは約210〜345万円。
中心の価格帯はX1が約240〜340万円で平均が約300万円、フォレスターが約260〜300万円で平均が約290万円と、それぞれかなり近しい数字となっています。
X1は、1.5LガソリンターボのFFモデルからクリーンディーゼルや高出力2.0Lガソリンターボのフルタイム4WD(xDrive)まで、エンジン、駆動方式、仕様異なるモデルを多くラインアップしているため、その価格の幅がそのまま中古車価格帯にも反映されています。
X1とフォレスターの中古車データを比較した場合、異なるのは個体の走行距離で、X1が1〜5万kmなのに対しフォレスターは1〜4万km。
走行距離の平均もX1は約2万8,000km、フォレスターは約1万5,000kmとなっていますが、これはデビュー年度が3年ほどずれていることによるものです。
約300万円の予算内で、比較的コンパクトでかつ走りの楽しいSUVの購入を検討している場合、これはかなり悩ましい選択となるでしょう。
以下では、それぞれの魅力について解説します。
購入検討の参考にしてください。
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※価格は支払総額
■X1は、使いやすいサイズ感と他に代えがたい高級感が魅力
現行型X1は2015年にデビューした2代目となります。
BMWのアイデンティティでもあるキドニーグリルを中心にスタイリッシュなヘッドライト、スポーティなキャラクターライン、迫力のある前後バンパーデザインなど、高級自動車メーカーらしい上質でバランスの取れたデザインが魅力的です。
ボディサイズは、全長4,455mm×全幅1,820mm×全高1,610mm(M Sportは1,600mm)。
2代目に進化するにあたりプラットフォームがFR(後輪駆動)ベースからFF(前輪駆動)ベースに刷新され、初代より全長は30mm短くなったものの室内空間は広くなっています。
エンジンラインアップは、2015年発売当時の1.5L 直3ガソリンターボと、出力の異なる2種類の2.0L 直4ガソリンターボ(141kW(192ps)/170kW(231ps))でしたが、2016年10月に2.0L 直4クリーンディーゼルターボが追加されました。
トランスミッションは、8速AT が基本で、1.5Lガソリンモデルのみ発売当時6速ATから、2017年8月の改良で7速DCTに変更。
駆動方式は、1.5LガソリンモデルがFF、その他はすべてオンデマンド式インテリジェントシステムのxDriveというAWDです。
安全装備は、フロントカメラによる衝突被害軽減ブレーキ、レーンディパーチャーウォーニング、前車接近警告機能を備えた「ドライビング・アシスト」を全車標準装備としています。
BMWブランドのSUVとしては、もっともコンパクトなX1ですが、決してエントリーモデル的な扱いではなく、ブランドに共通する高揚感をともなう上質なデザインと走りに妥協のないメカニズムを日本の道路環境で味わうなら、ベストバイの選択肢といえるでしょう。
■オフロードにも強い性能はスバルならでは
フォレスターは、ハッチバックの利便性とオンロードでの走行性能に、SUVの持つ力強さや機動性を持ち合わせたクロスオーバーモデルです。
現行型は2018年にデビューとなった5代目で、ボディサイズは全長4,625×全幅1,815mm×全高1,715mm(X-BREAKは1,730mm)。
最低地上高も220mmを確保されており、たいていのラフロードでも下回りを気にすることなく走れるでしょう。
発売当時のエンジンラインアップは、2.0L 水平対向4気筒ガソリン+モーターのハイブリッドの“e-BOXER”と、2.5L 水平対向4気筒ガソリンNAの2本立てでしたが、2020年10月に、ダウンサイジング版の1.8L 水平対向4気筒ガソリンターボモデルが登場。
入れ替わるかたちで2.5Lが廃止されています。
トランスミッションは全車リニアトロニック(無段変速)で、駆動方式は電子制御AWD(四輪駆動)、そして路面状況に合わせてモードを切り替えるだけで、優れた悪路走破性を発揮する「X-MODE」も搭載されています。
先進安全機能として、ステレオカメラによる先進安全運転支援技術「アイサイト(ver.3)」が搭載されています。
これには衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱抑制制御、全車速追従機能付クルーズコントロール、後退時自動ブレーキシステムなどが含まれています。
水平対向エンジン+AWDという独特のパワートレーンと、シンメトリカルAWDがもたらす安定した走りがフォレスターの魅力です。
水平対向エンジンのなめらかな回転フィールに、シンメトリカルAWDによるバランスの良さや重心高の低さなど、他ブランドのSUVには無い優れた特徴は、数々の“スバリスト”を生み出している要因ともなっています。
BMWブランドのステータス性や都会で映えるスタイリッシュなデザイン、人気のクリーンディーゼルもラインアップされているX1は、新車販売価格を考慮すると中古車市場では非常にお買い得。
対するフォレスターはオフロードシーンで映える力強いデザインやハイブリッドモデルが選べること、シンメトリカルAWDによる安定した走りを楽しめるのがポイントです。