わかる人にはわかる。レアが魅力のSUV
2021.02.22
SUVの人気が長らく続いていることで、人とはちょっと違ったモデルに乗りたいという方も増えています。
その代表格が、タレントに人気のメルセデスGクラスや、ランドクルーザー60でしょう。
とはいえ、Gクラスは1千万円オーバーの超高級車ですし、ランクル60は1989年に生産を終了したいわゆる旧車と呼ばれるモデルで、修理やメンテナンスの心配がついて回ります。
そこで、ここでは修理やメンテの心配が少ない、比較的“新しいのにレア”そんなモデルを紹介します。
■いまだからこそレアなモデルをチョイスする
レアなモデルが生まれる理由のひとつは、世に出るタイミングが悪かったというものがあります。
そもそも時代にマッチせず、数年生産しただけで後継モデルが出ることもなく消滅したり、メーカーは新しい市場を開拓しようとしたものの、ターゲットに響くことなく撤退したりと、理由はいくつもありますが、そのなかにはコンセプトやパッケージそのものは良かったという悲運のモデルがありました。
またいっぽうでメーカーの事情で販売台数が限られ、そもそもあまり世に出回っていないというモデルもあります。
ここでは、そんな街で見かける機会は少ないけれど独自の魅力を持っている、歴史に埋もれさせてしまうにはちょっと惜しい、レアなSUVを紹介します。
PRこの記事に関連するクルマ
※価格は支払総額
■わずか1年弱の限定販売。トヨタ ランドクルーザー70(復刻版)
トヨタの本格クロカンモデル、ランドクルーザーの70シリーズは、特にオフロード性能に特化したヘビーデューティ仕様として1984年にデビュー、日本では2004年まで販売されたロングセラーモデルです。
いっぽう世界では、高い信頼性からいまだに愛用され続け、一部地域では新車販売も継続しています。
そのランクル70誕生30周年を記念して2014年8月に、約1年の期間限定でランドクルーザー70が販売されました。
ラダーフレーム構造の高い堅牢性や耐久性、4.0L V6ガソリンエンジンにパートタイム4WDという組み合わせという伝統的なメカニズムを搭載しつつ、現代的な内外装と安全装備で時代のニーズにも応えた仕様となっています。
ボディタイプは、バンとダブルキャブのピックアップという2種類で、パワートレインは4.0Lガソリンエンジンに5速MTの組み合わせという、ストイックな仕様で、トヨタが掲げた月販目標は200台というものでした。
ところが蓋を開けてみれば、発売から1ヶ月で約3,600台を受注、最終的には約7,000台が販売されたといわれています。
市場に出た台数が少ないこと、さらにコアなファンが購入したことで、中古車市場でも品薄状態となっていいます。
■ブームの前に姿を消した。トヨタ FJクルーザー
FJクルーザーは北米市場向けに開発された本格クロカンSUVで、FJ40型ランドクルーザーを彷彿とさせる丸型ヘッドランプやオーバルグリル、ホワイトルーフといったネオクラシカルなデザインが特徴となっています。
日本では2010年に販売が開始され、全車右ハンドルの4.0L V6ガソリンエンジンと5速ATの組み合わせに、パートタイム4WDシステムを搭載。
個性的なデザインだけではなく、本格的なオフロード性能を持つクロカン4WDモデルとして話題となりました。
2014年には北米での販売を終了、日本では2017年にファイナルエディションが販売され、2018年には日本市場でも販売を終了しました。
FJクルーザーが販売されていた期間は、ミニバンが全盛期だったこともあり、発売後1ヶ月で2,100台を受注と好調な滑り出しを見せましたが、最終的には約2万5,000〜3万台の販売にとどまったと言われています。
■2021年なら大ヒット!?スバル エクシーガ クロスオーバー7
スバルで販売されていた3列シートミニバンのエクシーガは、3列シートミニバンと言っても人気のセレナやノアのようなワンボックスタイプではなく、レガシィの背を高くしたようなパッケージングで、走りにこだわったスバルらしいクルマだと言えるでしょう。
そのエクシーガをベースにクロスオーバーSUV風に仕立て直したモデルが、エクシーガ クロスオーバー7です。
2015年に発売されたクロスオーバー7はエクシーガの最低地上高を170mmに設定し、前後バンパーやホイールアーチ、サイドシルにブラックのクラッディングを施したSUV風スタイルに、中身はスバル自慢の水平対向エンジン+AWDのシンメトリカルAWDという、走りを楽しめるクロスオーバーモデルでした。
しかしミニバン(しかもステーションワゴンに近いパッケージング)とSUVの融合は、燃費の問題も含めて、世に出る時代が早すぎたようで、月販600台という目標を設定したものの初年度から達成できず、およそ2年半後の2017年には生産終了。
最終的には1万2,000台程度の販売にとどまったと言われています。
デリカD:5では背が高く走りに期待できない、かといってレガシィ アウトバックでは乗車定員が少ない、という走りにこだわりながらも多人数乗車ができるモデルを探しているユーザーには、ぜひ選んでいただきたい1台となっています。
■月販目標を絞りに絞ったレアSUV。スズキ エスクード
エスクードの現行型は2015年に登場した4代目となるわけですが、日本ではハンガリーの製造子会社マジャールスズキが生産し、自社ブランドの輸入車として販売されています。
伝統のクラムシェル(貝殻)フードボンネットなど一部分にその面影は残るものの、初代や2代目のような無骨で垢抜けない印象から脱却したすっきりとスタイリッシュかつモダンなヨーロピアンスタイルのボディや、「ALLGRIP」4WDシステムによる本格的なオフロード性能、軽量ボディと剛性の高い足回りによる安定したハンドリングなど、クルマの完成度は高く、ミドルクラスSUVとして高い魅力を秘めたモデルと言えます。
ところが、目標販売台数は年間で1,200台とかなり控えめな数字で、メーカーとしてはあまり力を入れて販売していないようです。
その結果、正確な数字はメーカーのアナウンスがないのでわかりませんが、いまだ累計で1万台には届いていないようです。
よく言えばシンプル、悪く言えば質素なインテリアが受け入れられれば、手に入れる価値は十分にある1台です。
■時代に合わなかった日産 スカイラインクロスオーバー
スカイラインクロスオーバーは、クーペとSUVを融合させた高級クロスオーバーSUVで、2009年に発売されました。
FRクーペのスタイリッシュで流麗なフォルムにボリューム感のあるフェンダーライン、安定感のあるどっしりとしたリアビューなど、スポーティで躍動感のあるデザインとSUVの力強さを融合させたデザインとなっています。
3.7L V6ガソリンエンジンに7速ATというメカニズムで、アラウンドビューモニターや車線逸脱防止支援システム、前方車両接近警報など当時の最新安全運転支援システムや、電動復帰タイプのリモコン可倒式リアシート、Boseサウンドシステムなど高級SUVとして充実した装備も特徴です。
月販目標台数は200台ということでしたが初年度から届かず、2016年の販売終了まで、販売台数は累計約5,000台程度と言われています。
不人気であった理由としては高級スポーツクーペとSUVの融合には時代が早すぎたことや、ベーシックグレードでも420万円〜という高すぎる価格設定が挙げられるでしょう。
往年のスポーツカー「スカイライン」の名を背負うにはあまりにも重すぎたモデルだったのかもしれませんが、走行性能は高く、決して名前負けしているわけではありません。
中古車であればお得な物件と言えますから、燃費が気にならないのであればぜひ乗っておきたい1台ではあります。
分かる人にはわかるレアなSUVモデルは、決して性能が他より劣っているわけではありません。
リセールの良い人気車種もアリですが、こうしたレアモデルで個性を発揮してみませんか?